crystal



 その職業は、辞する人間が多いらしい。無理もないだろう。他人の願いが消えていくところを毎日見ていれば、精神は滅入るのが普通というものだ。
「この前入ったバイト、辞めたらしいぞ」
「……ったく。長く続かないって分かってるんだからバイトなんか雇わなきゃいいのにな」
「人手不足なんだろ」
 この世界において、人の「願い」は目視できるものとして存在していた。もちろんその形状は多岐に渡り、そして形を成しているからこそ、破棄もまた容易だった。捨てられた願いは回収され、完全にその輝きを失った時点で燃やされる。だが、どんなことにも例外は存在する。
「……あれ?」
 皆川宏樹は無数のくすんだ願いの中に、未だ輝きを失わない球体を見つけた。それを拾い上げ、手の上で転がすようにしながら観察する。持ち主を離れたにも関わらず、それには微かな曇りも存在していなかった。
「どうして、これが……?」
 宏樹は願いの結晶を汚れた作業着のポケットに押し込み、仕事――灰色に覆われた願いの骸をならす作業――を再開する。これが終われば、ここにある想いは全て灰になるのを待つだけだ。
 時々、薄ら寒くなることがある――いつだったか、宏樹の同僚が呟いた言葉だ。最初のうちは無数の願いが消え失せていくことに痛みを覚えるが、今は何の感情も抱かず、無表情で願いが火葬されていくのを見送っている。そんな自分が、生きているのかどうか分からなくなる……。
 願いの処理場で宏樹が働き始めて、もうすぐ五年が経とうとしていた。それだけの時間を経て、彼はまだ心を失ってはいなかった。
「終わったか?」
「あ、ああ」
 同僚の言葉に曖昧に頷き、宏樹は歩き出す。願いの廃棄場所から処理施設の中に入ったところで彼は一瞬足を止め、仕事道具を同僚に押しつけると走り出した。
「お、おい!」
「悪い! 急用!」
 宏樹の姿が見えなくなると、男性は小さく溜息をついた。
「またか……」
 仕事道具を用具入れの中に放り込み、男性は自分の席に座る。彼の机の上に、湯飲みが置かれた。
「お疲れ様です」
 彼の所属する課で唯一の女性職員が、微笑みながら声をかける。男性は浮かない顔で、適当な相槌を打った。
「永井さん、元気ないですね。……そういえば、皆川さんは?」
「……急用だと」
 永井の言葉に、女性職員だけでなく部屋にいた全員の表情が変わった。
「また……ですか?」
「……ああ。いい加減にしないと本当に首が飛ぶぞ……」
「誰の首が飛ぶって?」
 不意に聞こえてきた言葉の主に、全員の視線が釘付けになった。白髪混じりの頭と顔の所々に刻まれた皺の所有者であり彼らの上司である男性が、その場にいる人間の顔を見渡す。
「……皆川は?」
「あの……急用らしくて……」
「急用、か」
 自分の机の上に置かれた湯飲みを見ながら、中間管理職を勤める男性は自問するように呟く。
「これで、何度目だ?」
「それは……その……」
「次で四十九度目。始末書も四十九枚目だ。縁起の悪い数字だとは思わんか、柳君」
「は……はあ……」
 女性職員――柳佳奈実は戸惑いを隠さないままに頷いた。
「言ってくれんかね? 勤務態度を改めるように」
「どうして佳奈実ちゃんなんですか? 課長自ら言えばいいじゃないですか」
 男性職員の疑問に、上司は茶をすすりながらあっさりと言った。
「私が言うより、効果があるからな。皆川は柳君に惚れてるんだろう?」
「な……何言ってるんですか、茂村課長」
 狼狽する佳奈実とざわつく部下を気にも留めず、茂村は言葉を続ける。
「で、柳君も皆川に惚れてる。別に問題はないと思うがね、社内恋愛が禁止されているわけでもないのだしな」
「……雑巾の絞り汁入りのお茶出しますよ」
「最近胃の調子がよくないのでね、遠慮しておくよ」
 茂村はふと窓の外に視線を向ける。空の直中に立ち上る白い煙を見つけ、彼は溜息をついた。
「……いつ見ても、気分のいいものじゃありませんね」
 部下の声に何の感情も示さず、茂村は絶え間なく生まれる白煙を眺めていた。願いを灰に変える過程で発生するそれは環境には無害らしいが、その意味を知る人間にとっては精神を陰鬱とさせる原因以外の何物でもなかった。
「前々から聞きたかったんですけど……」
「ん?」
「どうして皆川さん、辞めさせられずにいるんですか? 始末書四十八枚……しかも、そのほとんどが重大な職務規程違反によるものなんですよね?」
「ああ、そのことか……」
 佳奈実の質問に、茂村はわずかに苦々しげな顔を覗かせた。湯飲みを机に置き、まるで自分の罪を懺悔するかのようにゆっくりと言葉を紡ぎ始める。
「理由は……改めて私が言う必要もないとは思うが。君らが皆川に求めている役割が、その答えだ」
「……スケープゴート」
 その単語を、誰が発したのかは分からない。だがそれが、この仕事に就いて日の浅い佳奈実を除いた人間の、宏樹に対する共通した認識だった。
「毎日消えていく願いを見ていると、感情の一部は麻痺せざるを得なくなる。恐らく本当の意味で人間らしい感情を持っているのは、ここの連中じゃ皆川と柳君くらいなものだろう。それでもある瞬間、魔が差したように消えていく願いを救いたい衝動に駆られることがある。そんなことはもちろん不可能だがね。職務規則第一条――如何なる理由をもってしても廃棄された願いに関与するべからず。だが、そんなことをものともしない人間がいるのだよ」
「それが、皆川さん……」
「殺すより他にない人としての本音を、全て皆川に託している。無論それが、重大な違反だと知りつつ。ここの連中だけじゃない、お偉いさん方も同じだよ。そうじゃなければ始末書が五十枚にリーチなどかかる前に、皆川は辞職しているはずだからな。まあ、それでも建前を通すために私は五十過ぎで未だ現場勤めだがね」
 世界には欺瞞が満ちている。それはある意味で、真理だと言っていいだろう。増して、形骸となった願いを完全に消去する職なのだ。偽りが幅を利かせない理由がない。
「馬鹿げていることくらい、皆承知している。見苦しい言い訳をするつもりもない。もっとも、皆川を解雇すれば私はもう少し上の役職に就けるのだろうがね。……今の立場も、そんなに悪くはないのでな」
 茂村は湯飲みを空にすると、再び外に目を向けた。風に吹かれる白煙は、途切れる気配を見せようとはしなかった。


 この街で唯一の河原。その片隅に、少女は一人で立ち尽くしていた。
 遠くに見えるビルに、夕日がかかっている。一時間もしないうちに、辺りは闇に包まれるだろう。赤い光に照らされる幼い横顔は、その年齢にはふさわしくない陰を持ち合わせていた。
「……何の用ですか?」
 自分の背後に立った人物に、少女は振り向きもせず尋ねた。
「届け物、ってところかな」
 と、少女の目の前に差し出されたのは、何日か前に捨てられたはずの彼女の願いだった。思わず、少女は振り向く。
「これ、君のだよね?」
 事情が理解できないまま、それでも少女は男性の言葉に頷く。彼は微笑むと、願いを持ち主の手の上に置いた。
「あなたは……?」
「皆川宏樹。願いの処理場で働いてる。君は?」
「あ……神沢志織です」
「中学生?」
「あ、はい」
「それでこれ……余計なお世話だった?」
 志織は申し訳なさそうに頷き、
「でも、本心は違います」
「うん?」
「頷いたのは、そうしないと怒る人がいるから……」
 志織は足下の石を拾い上げ、川に向かって投げた。水面を何回か跳ねたあと、石は自らの重さに従い水中に紛れた。
「上手いね」
「ほとんど毎日、来てますから。小学校に入る前から、ずっと」
「この場所に何かあるの?」
「何にもないです。ただ、好きなだけ……」
 再び投石し、志織は問う。
「どうしてこれが、私のだって分かったんですか?」
「その意味を失ってない願いは、本来の持ち主を教えてくれるものなんだ。それをポケットに入れたまま思うように歩いたら、君がいた」
「そうなんですか……」
「……聞いてもいいかな? そんなに綺麗な願いを、何故捨てようとしたのか……」
 志織はしばらく沈黙を守っていたが、小さく息を吐き出すと、ゆっくりと語り始めた。
「私の父と母は、会社を経営しているんです。将来的には私に継がせたいみたいなんですけど、私はそんなの興味がないんです」
 暖色が風景の中の割合を減らし、闇が街を飲み込まんばかりに辺りを包み込み始めていた。
「私は、絵が好きなだけなんです。絵を描くことさえできれば、他は普通でいいのに……」
「画家になりたいの?」
 志織は首を横に振る。暗闇に隠されながら、涙がいくつか願いの上にこぼれた。
「本当にただ、絵が描きたいだけなんです。でも、両親は絵を描くこと自体を禁止して……」
「描けなくなったから、捨てたの?」
「……」
「願いっていうのは基本的に、持ち主本人じゃなきゃ捨てられないんだ。もちろん捨てるまでには色々な要素が関わってくるだろうけど、最後に決断するのは本人でしかない」
 宏樹の厳しい口調に、志織はただ口を噤むしかなかった。心が無数に交差するせいで、むしろ彼女はどんなに小さな気持ちも発することができなくなっていた。
「でも、どんなことにだって例外はある。願いは持ち主の手を離れればその光を失ってしまうのが普通なんだけど、君のは違った。その願いに暗いところがあるように見える?」
「いえ……。でも今これを持ってても、また捨てることになると思うから……」
「問題はそれか……」
 志織は自分の胸に願いを強く抱き締める。その頭に手を置いて、宏樹は微笑んだ。
「捨てる気は、ないんだよね?」
「……私は、ないです。だけど……」
「俺は絵のことなんか、全然分からないよ。でも――」
 宏樹が作業着から取り出したのは、小さなメモ帳と一本のボールペンだった。
 川の向こう、空よりは低く河原よりは高い場所に横たわるレールの上を、灯りを点した電車が夜の訪れを知らせるように疾走していく。その足音が消えると、宏樹は言葉を続けた。
「描くこと自体は、案外簡単に続けられるんじゃないかな」
 自分の願いと宏樹の顔を何度も交互に見つめてから、志織は青年が差し出した紙と筆記具に手を伸ばした。胸に抱えていた球体が、彼女に吸い込まれるように消えていく。少女の瞳が、ようやく明るい色を宿した。
「もう少し、頑張ってみます。まだ私は、捨てたくないみたいですから」
「うん、それがいいよ」
「あの、それで……時間、ありますか?」
「時間? 大丈夫だけど……君の方こそ、帰らないといけないんじゃ?」
「平気です。……絵、描きたいんです」
 宏樹は頷く。頭上には、まるで志織の願いのような月が浮かんでいた。


「……四十九枚目、か」
 茂村は提出された始末書を見ながら息をついた。
「何か言い分は?」
「ありません。どうぞお好きな処分を」
 窓の外の白煙は今日も空に溶け続けている。茂村は複雑な心をその顔色で表し、緩く首を横に振った。
「……仕事に戻りたまえ」
「はい」
 部屋を出ていこうとしたところで、初老の男性と鉢合わせた。何故か記憶の片隅を刺激する面識のない男性に会釈をし、宏樹は彼の横を通り過ぎようとする。だが次の瞬間、青年は足を止めた。
「皆川宏樹さんは、いらっしゃいますか?」
「……俺に、何か用ですか?」
 振り向いた男性の顔が驚愕に満たされたかと思うと、彼は宏樹の両手を握り、深々と頭を下げた。
「ありがとう……」
「え? ちょっ……」
「皆川!」
 宏樹が疑問を呈するより先に、直属の上司が彼の胸倉をつかんでいた。そのまま壁に押しつけられ、茂村は部下を詰問する。
「お前、何やった!? 返答次第で――」
「ま、待って下さいよ! 俺は何もしちゃいません! 第一この人、誰なんですか!?」
「取締役だよ、我が社の!」
「え……?」
 あまりにも予想外の返答に、宏樹はただ呆然とするしかなかった。彼から手を放した茂村は襟を正し、最敬礼をしている。男性はその脇をすり抜け、半ば放心状態の平社員に声をかけた。
「改めて礼を言わせてもらいますよ、ありがとう」
「礼って……俺、取締役に頭を下げられるようなこと何もしてませんよ。解雇される心当たりなら山ほどありますけど」
「それですよ」
 男性が穏やかに言った。混乱を静められない宏樹は、わけが分からないまま重役の話に耳を傾けるしかなかった。
「神沢志織。ご存じですよね」
「さあ……知らない名前ですね」
 宏樹の嘘も予想していたことなのか、男性は気にも留めず先を続けた。
「あの子は、私の孫娘なのです。最近元気をなくして心配していたのですが、一昨日元気な声を電話で聴かせてくれまして……よくよく話を聞いてみると、出てきたのがあなたの名前でした。ですから、是非――」
「待って下さい」
 宏樹は内心の動揺を気付かれないように男性の声を制し、うそぶいた。
「やっぱり、心当たりがありませんよ。他人の空似じゃないんですか?」
「それはあり得ません。孫と話をした男性はここの作業着を着ていたそうですし、我が社に皆川宏樹という名の人物はあなた一人しかいませんから」
「……」
 沈黙と同時に、心配そうな顔をしている佳奈実が目に入った。一瞬、自分の心が見透かされたかのような錯覚に捉えられる。それは思い過ごしだと自らに繰り返し言い聞かせながら、彼は無言を守った。
「ですから、ぜひお礼を……。本社の方で、働いてもらえませんか?」
 思いがけない申し出に、宏樹は息を呑んだ。それは彼の同僚や上司にしても同じだろう。何しろ、本社で働けるのはグループ全体でもほんの一握りであり、しかも取締役直々の申し出なのだ。将来の出世は約束されたようなものだろう。だからこそ、その場にいる誰もがその提案を受けるだろうと思ったとしても、それは無理からぬことだ。
「……お断りします」
 だが、誰の耳にも承諾の返答は聞こえなかった。その場にいる宏樹以外の全ての人間が、狐につままれる。
「どうかしてますよ。俺の仕事ぶり、知ってます? 始末書四十九枚ですよ、四十九。しかもそのほとんどが極めて重大な職務規程違反です。本来なら一回だけでも解雇されたっておかしくないですよ。そんな人間を本社勤め? 冗談も程々にして下さい。俺に一番ふさわしくない場所じゃないですか」
 と、宏樹は作業着の中から一枚の封筒を取り出し、それを男性に突きつけた。
「もし、俺に感謝してるなら……これ、受け取って下さい」
 そこに記されていたのは、辞表の二文字だった。宏樹は微笑み、茂村に頭を下げる。
「これまで、大変お世話になりました。課長に迷惑をかけるのも、今日で最後です。ありがとうございました」
「何故、そんな急に……」
「何故? 課長も変なこと聞きますね。俺が辞めれば、メリットだらけじゃないですか。どうして理由なんて聞く必要があるんです?」
「……」
「どうしても理由が聞きたいなら、一つだけ。いい加減嫌になったんですよ、スケープゴートを演じるのが」
 凍りついた空気に抱かれる同僚を見渡して、宏樹は小さく笑う。佳奈実には何故かそれが、自嘲に見えた。
「冗談ですよ。他の人と同じです。願いが消えていくのを見るのが、嫌になったんですよ。……さて、最後に一仕事してきますかね」
 その日、彼の小さな願いが無数の骸の中に紛れたことを知る人間はいなかった。


「……皆川さん?」
 穏やかな風と川の流れる音の中で眠っていた宏樹は、自分を呼ぶ声にゆっくりと瞼を開いた。
「あれ……佳奈実ちゃん……? どうしてこなところに?」
「前に言ってたから。暇なときは、この河原でのんびりしてるのが好きだって」
「ああ、そうだったっけ……」
 宏樹は体を起こす。仕事を辞めて二週間が経とうとしていたが、自分の生活以外は何一つ変わることがなかった。
「あれから、どう?」
「みんな、変わりなくやってる」
「そりゃよかった」
 佳奈実は宏樹の隣に座って、けたたましく走る電車を目で追った。すぐにその姿は見えなくなり、彼女は空を仰ぐ。雲一つない、澄んだ大気がそこにはあった。
「……やっぱり、戻ってくる気はないの?」
「俺はあの仕事には向いてないし、疲れたよ」
「それだけ?」
「うん?」
「辞めた理由。それだけなの?」
 宏樹はかぶりを振った。足下の石を拾い立ち上がると、彼は川面に向かってそれを投げた。
「……失敗」
「水切り?」
「ああ。できる?」
「ううん、苦手」
 宏樹は再び腕を振るう。今度は何回か水面を跳ねてから、川床へと沈んでいった。
「本社勤務を持ちかけられたのが、原因かな」
「え?」
「性に合わないっていうのもあったけど、それ以上に、俺の勝手な行動の結果が栄転になるのが嫌だったんだよ。まるであの子を利用したみたいで」
「でも、知らなかったんだよね? 取締役のお孫さんだって」
「ああ」
 数え切れない願いが生まれ、消えていく。それは人が生きている以上、呼吸のように絶え間なく繰り返される日常なのかも知れない。廃棄された時点ではまだ輝きを失っていない願いは少なくない。だからこそ、そのいくつかを選び持ち主に返そうとすることは、あるいは偽善と言われても仕方がないのだろう。
 それでも、願いが色を失っていく様を日々見ているだけなのは、耐えられないことだった。それが自己満足の範疇を出ないとしても、自分の心を偽り続けることは不可能だった。
「辞めたこと、後悔はしてないよ。随分楽になった」
「これからどうするの?」
「別の仕事を探すよ。気ままな一人暮らしだからね、俺一人が食うのにそんなに多くの金がいるわけでもないから、何かは見つかると思う」
「そっか……。私も仕事、辞めようかな」
 佳奈実は足下の石を蹴飛ばしながら、冗談とも本気ともとれる声音でそんな台詞を口にした。
「辞めて、どうするの?」
「永久就職でもしようかな。ねえ、もらってくれる?」
 と、悪戯めかした笑み。だがそれでも、宏樹を狼狽させるには充分だった。
「な……」
「冗談だよ」
 佳奈実は髪を束ねていたゴムを外した。ほどけた黒髪が風に吹かれ、わずかに揺れる。
「でも、本当に辞めようかな。……皆川さんもいなくなったし」
 今度は、真剣な瞳だった。だがそれも数秒のことで、次の風が頬を撫でたときには既に佳奈実は別の話題を持ち出していた。
「それより、これ見て。ここに来る途中で、描いてもらったの。似顔絵なんだけど、中学生くらいの女の子が描いてて――」

FIN


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