「お疲れ様です。ええと……三樹悟司様」 気付くと、三樹は見知らぬ場所に立っていた。自分の目の前には向こう岸が見えないほど大きな川、背後には一面の花畑が広がっていた。そして傍らには、着物姿の若く美しい女性が一人。自分が置かれている状況を全く把握できない三樹は、遠慮がちに女性に尋ねた。 「……ここは?」 「『あの世』ですよ」 こともなげに、女性は答える。だが、その言葉に異を唱えるよりも先に、三樹の脳裏に最期の記憶が浮かんだ。 「……そうだ。バイクに乗ってたら、トラックに……」 三樹は力無くその場に腰を落とす。涙は出なかった。 「……名前は?」 現在、唯一自分の話し相手となってくれそうな女性に尋ねる。彼女は微笑み、綺麗な名を名乗った。 「氷雪です。氷の雪で、『ひゆき』」 「氷雪さん。……俺、これからどうなるんですか? やっぱり天国か地獄のどちらかに……?」 氷雪は可笑しそうな表情を見せて、 「あ、ごめんなさい。でも、皆様同じことを聞かれるものですから。天国とか地獄とか、そういう区分はないんです。皆様の生きている世界と同様に、一つの世界があるだけですよ」 「じゃあ、天使や鬼は……?」 「私はこの世界に永くいますが、未だ存じ上げません」 「そうですか……。安心しました。俺は死んだらたぶん地獄に堕ちるだろうと思ってたから……」 「皆様、そう仰られます」 と、氷雪はまた微笑んで、白く小さい手を差し出した。三樹はまるで子供のように、何のためらいもなく彼女の手を取って立ち上がった。 「氷雪さんは、名前通りの人ですね。白くて綺麗で、冷たいんだけど優しい……」 「そんなこと、ありませんよ」 氷雪の笑顔に、三樹もまた笑って応える。死を迎えたというのに、心は穏やかだった。 「あの、俺はこれからどうすれば?」 「自由ですよ。ここでずっと過ごしていてもいいですし、生まれ変わっても構いません」 「……氷雪さんと話していても?」 氷雪は意外そうな瞳を覗かせ、 「私と話していても……退屈ですよ?」 「そんなことないですよ。あ、でも……仕事の邪魔になりますか?」 「暇はいただいていますから。ただ、今日まで私と話してくださるような方はいなかったので……」 「一人も?」 氷雪は頷き――その表情が微かに曇って見えたのは気のせいだろうか――、ゆっくりと自分の「役目」のことを話し始めた。 「私がこのお役目についたのは、随分昔のことです。もう今となっては、思い出せないほどに……。多くの死を迎え入れてきました。静かだったもの、荒れ狂っていたもの、悔いていたもの……様々な死がありました」 「……辛くはなかったんですか?」 氷雪はただ、小さな笑みをこぼしただけだった。何故か、胸の奥がうずいた。 「ここは、全てが自由な場所……。ですから、このお役目を任じられると同時に、辞する権利もいただいていました。けれど私の知る命はもう全て転生を果たし、私はここでも独りになってしまったので……」 「氷雪さんも、元々は生きていたんですか?」 「ここにいる命は、たった一つを除いて全て、元は『生命』として現世に存していたものです。例外はただ一つ……ここを統括する、尊様です」 「みことさま?」 「はい。終わらぬ命を抱え、名前も肉体も持たない――ですから、尊様とは私が勝手に呼んでいるのですが――御方です。全ての生と死を見届けるため、永遠のお役目を自らに課せられている……」 「……悲しい、役目ですね」 氷雪は何も言わず、目を伏せた。永久の時間を、恐らくは全ての生命が果てるまで終わらない役目のために過ごす。肉体も名も置き去りにし、どこに向かうつもりなのだろうか。 「……このお役目でいる限りは、たくさんの命と出会えますから。たとえそれが全て、一期一会であろうと……」 「氷雪さんは……尊様と共に時を過ごすつもりですか?」 何故そう思ったのかは、三樹自身分からなかった。ただ、彼女の瞳は何も見ていないように思えた。 「それも……いいかも知れませんね」 「……俺は……」 三樹は口を開いた。何を言えばいいかは分からなかったが、今沈黙してしまえば氷雪とは二度と話せなくなるような気がした。 「生きていた頃、ほとんど友人と呼べるような奴はいませんでした。恋人もいなかったし、両親はもう死んでる……」 「ご両親に、会いに行かれてはどうですか? 私と話してるよりも……」 三樹はかぶりを振った。花の布団の上に、大の字に倒れ込む。生きていた頃に見たどんな空より、彼の目の前に広がる風景は青く澄んでいた。 「色々あって……俺は親のこと憎んでるんです。事故で死んだと聞いたとき、真っ先に嬉しく思ったから……」 「……」 「友人と呼べるのは……飼っていた猫と、たった一人の幼なじみだけです。そいつらさえいれば、俺には充分だった……」 と、三樹は小さく息をつき、おどけた顔で氷雪に尋ねた。 「今の俺の話、どう思いました?」 「……え? それは……」 「悲しかった……でしょう?」 氷雪の沈黙が答えだった。三樹は体を起こし、目を閉じる。風が吹き、花が歌った。 「俺と……同じですよ、氷雪さんは。ここで時間を過ごして、せっかくの綺麗な笑顔をこれ以上悲しくするつもりですか?」 「……ここで、多くの人を見送ってきました……。だけど、私に会いに来てくれる人は一人も……。でも、いいんです……慣れてますから。私を愛してくれた人は、誰一人いなかったから」 氷雪から、涙がいくつも落ちる。それも自分で拭い、彼女は赤くなった目を隠すため精一杯の笑みを浮かべた。 「でも、寂しくはないんです。ここにいれば、たくさんの命に会えますから……」 「……気持ちは分からなくもないですけど、でも……」 三樹は先を言いあぐね、再び花園の中に倒れ込んだ。 「……ごめんなさい。ところで……現世に未練はありませんか?」 「それはもちろん、ありますけど……」 「ここに来た人は誰でも、二十四時間だけ現世に戻ることができるんです」 「幽霊ってことですか? 二十四時間限定の」 「皆様、そう言われます」 と、氷雪は目を細める。先程までの陰のある表情ではなく、最初に見せた屈託のないものだった。 「では、目を閉じて……」 瞼を開いた三樹の視界に飛び込んできたのは、よく知った街並みだった。そして、それが眼下に広がっていることが、自分が人にあらざる存在であることを証明していた。 「どこに行きます?」 「じゃあ、俺の部屋に」 空中を浮遊しながら、三樹は答えた。もう一度自分の足下を見下ろし、彼は感慨深げに溜息をついた。 「どうしたんですか?」 「俺、死んだんだなあ、って……。さっき、あっちで氷雪さんと話してるときはあんまり実感なかったんですけどね。足もちゃんとついてたし。でもさすがに、これは……」 「ショック……ですか?」 氷雪が心配そうに三樹の顔を覗き込む。恐らく今までに、この状況で取り乱した命がいくつもあったのだろう。彼は首を振ると、氷雪の手を握った。 「招待しますよ、俺の部屋に。殺風景な上に狭いところですけどね」 「あ……はい」 程なく、三樹は生前住んでいたアパートの上空に着いた。部屋のドアノブをいつものようにつかもうとすると、彼の手がすり抜けた。 「通り抜けられますよ」 「それもそうか……。でも、氷雪さんには触れますよ?」 「死んだ命同士は触れることができるんです」 「なるほど……」 納得しながら中に入ると、一人の男性が一匹の猫を抱えて座っていた。三樹の顔色が変わる。 「お友達……ですか?」 「さっき話した……幼なじみと飼い猫です」 男性――伊阪圭輔の周囲には、ビールの空き缶が何本も転がっていた。氷雪とつないだ手に、無意識に力が入る。 「い、痛いです……」 「ああ、ごめん……」 三樹は手をほどくと、散らかった部屋の床に座り込んだ。うなだれる親友に触れようとするが、それが叶うことはない。彼は苛立ちを隠さず、感情の詰まった声を押し殺しながら呟いた。 「馬鹿野郎……飲めないくせに……」 「お前は馬鹿だよ……」 伊阪が言った。一瞬、自分の言葉に応えたのかと三樹は思ったが、無論ただの独り言だ。 「あれほどバイクに乗るときは気をつけろって言ったろうが……。こんな逝き方ってあるかよ……」 三樹は強く拳を握り、唇を噛みしめる。氷雪は何も言わず、彼の肩にそっと手を置いた。 「俺……彼女にプロポーズしたんだ。式で……お前にスピーチしてもらうはずだったんだぞ……」 伊阪は思いきり床を殴りつけた。猫が驚き、飛び退く。 「どうしてお前が死ななきゃ……!」 氷雪は三樹を背中から抱き締めた。彼女の冷たい手を涙が濡らし、そのたびに腕の力が強くなっていった。 「大丈夫ですか……?」 「……何とか……あいつに俺の遺志を伝えることってできないんですか……。そのためなら……どんなことでもするから……」 「誰かに憑ければ、あるいは……でも……」 「でも……?」 「霊波長、というのがあるんです。それはそれぞれの命で違うのですが、似たような霊波長を持っていなければ憑依するのは難しくなります」 「似た波長を持った人を見つけるのは難しいんですか……?」 「……とても。日本に五人いるかいないか……。ただ……」 「ただ? 他に手が?」 「はい。猫なら……」 「猫?」 氷雪は三樹が飼っていた黒猫を見て、いくらかの迷いを残したまま言葉を続けた。 「猫は波長がとても特殊なんです。そのせいか、容易に憑くことができますが……何しろ猫ですから……」 「構わない!」 三樹は氷雪の声を遮り、強い意志を示した。気圧されながらも、女性は穏やかに微笑んだ。 「三樹様は、とても友達思いなのですね」 「あいつらには、散々迷惑をかけたから……それだけです。それで、どうすれば?」 「目を閉じて……意識してください。憑依するものと自分を、同化するイメージを……」 言われた通りに、三樹は自分が猫になっている感覚を思い描く。これが失敗すれば、親友たちにメッセージを伝える機会を永遠に失うだろう。 「……」 瞳をゆっくりと開く。自分の視界が、普段よりもずっと低くなっていた。 伊阪のそばで、三樹は声を上げてみる。だがそれは、予想していた通り鳴き声にしかならなかった。 「……お前は、これからどうするんだ?」 尋ねる伊阪の目は、一度も見たことがない暗い色を帯びていた。それだけで、自分の死の意味を思い知るには充分だった。 「俺の所に来るか? ほっといたら、悟司に化けて出られそうだからな」 伊阪が言葉を発するたびに、言いたいことが積み重なっていくのが分かった。けれど、それを伝える術はまだ見つからなかった。 「幽霊でもいいから……会いに来てくれないか?」 猫の視点で、三樹は必死に部屋の中を見渡す。不意に、四肢が床から離れた。 「……帰るか。さあ、お前も一緒に……」 伊阪の手に噛みつくと、猫は彼の腕から飛び出した。威嚇をしながら、三樹は思慮を巡らせた。 「三樹様、足下を……」 氷雪の声だった。足下には、新聞紙が一枚広がっていた。 「一体、どうし……」 困惑している伊阪を無視して、彼は部屋の隅にまとめられている古新聞に飛びついた。 「新聞が、どうした?」 三樹はただひたすらに声を上げた。伊阪が自分の行動の意図に気付いてくれる微かな可能性を、疑うことはできなかった。 「……読みたいのか?」 伊阪が床に広げた新聞の上に飛び降り、三樹はその上を歩き回った。やがて目的の文字を見出しから探し出し、それを順番に何度も踏んでいった。 「……何やってるんだ?」 猫がずっと同じところを回っていることに気付いた伊阪は、ビールを床の上に置き近寄った。 「ん……」 最初の字の上に足を置き、出る限りの声で鳴く。二文字目と三文字目の上でも同様に鳴き、伊阪の顔色を窺った。その表情から彼が一連の行動の意味を把握していないと知ると、同じことを繰り返した。 「……」 五回目が終わった頃だろうか。伊阪の顔つきが明らかに変わった。残っていたビールを飲み干し、彼は吐き捨てる。 「……飲み過ぎだ。妄想にも限度はある」 それでも、伊阪は猫から目が離せなくなっていた。端をくわえ、ページをめくろうとしていた猫を手伝う彼の瞳には、恐怖に似た期待が存在していた。 今度は五文字だった。一文字ずつ踏みつけ、最後の文字を踏んだ刹那、罵声が投げつけられた。 「馬鹿野郎……どこまで非常識なんだ……」 伊阪の肩が震える。空き缶を持ったまま振り上げた腕がゆっくりと元に戻り、缶が床に転がった。 「突然死んで……猫になって戻ってきて……挙げ句、『ごめん』と『ありがとう』だと? ……そんなのいらないんだよ!」 声の大きさに反して、その背中は小さかった。立ちすくむ三樹に、静かに氷雪が声をかける。 「三樹様……戻ってきていただけますか?」 三樹は頷き、憑くのとは逆の要領で抜け出した。体を取り戻した猫はその場に丸くなり、伊阪が再び視線を向けたときにはすでに眠りに落ちていた。 「……もうあいつは……お前の中にはいないんだな……」 黒い毛並みを撫でつけ、伊阪は淡々と言葉を紡ぎ始めた。 「もしもう一度あいつに会えたら……伝えてくれないか……。感謝も謝罪も、死ぬまで言われたくはなかったし、言うつもりもなかった……。ただお前と一緒に酒を飲んで、仕事の愚痴を言い合って、年寄りになってお互いの孫の話でもできれば……それだけでよかった……」 氷雪の手が、三樹の頬に触れた。寸前で堰き止めていた涙が、とめどなくこぼれ始める。 「……氷雪さん……俺……」 「大丈夫ですよ……。ちゃんと、伝わってます……」 「言いたいこと、山ほどあって……でも、どうしてあんな……」 「三樹様がお伝えした言葉は……他の何よりも大切なもの……。悔やむことはないですよ……」 ほとんど無意識に、三樹は氷雪のことを抱きしめていた。彼女は体の力を抜き、小さく息をついた。 「すみません……迷惑をかけて……」 「平気ですよ……。私は三樹様より、ずっと年上ですから」 「そう……ですね……」 名前のいらない心のかけらが、いくつも生まれ消えていた。 それは、命によく似ていた。 「氷雪さんは、幽霊として現世に戻ったとき、何をしたんですか?」 色彩豊かな花々の中に横たわったまま、三樹は何気なく尋ねた。氷雪は表情を曇らせ、足下に視線を落としたまま黙り込む。質問者は心の中で舌打ちをし、ばつが悪そうに言った。 「生きてた頃のことは、好きではないんですよね……。すみません」 「いえ……」 強い風が吹いた。氷雪の長い黒髪が揺れ、ゆっくりと彼女の過去が紡ぎ始められた。 「前に、言いましたよね……。私を愛してくれた人は、誰一人としていなかったと……」 三樹は何も言わなかった。言葉だけで否定するのは簡単だが、そんなことが何の意味も持たないことは疑いようがなかった。 「私が産まれたのは、三樹様が生きていた時代よりずっと昔……母は大きな家の一人娘だったそうです。父は農業を営んでいたそうです。父と母は愛し合っていましたが、母には別に夫がいました。親同士が決めた、許婚だと母は言っていました。母は私のことを許婚の方との子だと偽っていましたが、そんな嘘がそう長く通用するはずもありません。私の本当の父が明らかにされると、私は父と母に連れられて村を出ました。人目につかないよう山道を通り、何日かして別の小さな村に着きました。けれど私はそこで、捨てられました」 氷雪の声は淡々としていた。永い時間を経て、思い出からは憎悪も悲しみも薄れ、微かな過去だけがそこにあった。事実は、孤独に覆われていた。 「朝起きたら父と母の姿はなく、私はある大きなお屋敷の奉公人として働き始めました。昼は雑用、そして夜は……」 言葉が不自然に途切れる。氷雪がその先を声にするより先に、三樹がかぶりを振った。 「いいよ……」 「……はい。十八になった夜、私は一人で道を歩いていました。そのとき、背後から男性に襲われ……」 「……ここに?」 「……ここに来てから知ったことなのですが、私を襲ったのはお屋敷の若旦那様でした。言い寄ったのを断られた腹いせに……」 かける言葉を見つけられなかった三樹は、強く瞼を閉じた。彼の頬に触れた氷雪の手が、気付かず流れた涙を拭った。 「この身体も、氷雪という名もこちらに来てから尊様にいただいたものです。あまりに汚れていた私を尊様は哀れんで……」 「違う……。氷雪さんはずっと綺麗だったんだ……。だからそれに似合う身体と名前をくれた……。尊様が何をできるかは知らないけど、心は……命は交換できないんだから……」 拳を握り、大きく息を吐き出す。涙を止め、三樹は笑った。 「他の誰が何と言おうと、氷雪さんは綺麗な人です。そういう人なんです、俺にとっては。――尊様は、氷雪さんに幸せになって欲しかったから、新しい名前と身体をくれたんだと思いますよ。永遠に等しい時間をずっと孤独でいるなんて、見てる方も辛いですよ」 「でも……」 「ここは何をするのも自由なんでしょう? じゃあ、俺が氷雪さんのそばにいてもいいですよね。もちろん、氷雪さんが嫌だったらやめますけど……」 「嫌ではないです。でも……迷惑では……」 「迷惑だったらこんなこと言いません。第一、俺が氷雪さんのそばにいたいだけなんですから」 「私の、ですか? あの、でも私は三樹様のことよく知りませんし……」 「それはこれから、ゆっくり知ってもらえればいいんです。ただ一つ言えることは、氷雪さんはもう独りじゃありません。独りになんて、させない」 「どうして……私なんですか……?」 「……分かりません」 三樹は氷雪の髪に触れ、申し訳なさそうに笑顔を浮かべた。 「直感みたいなものですよ。氷雪さんといれば、きっと幸せになれる。死んでるのに、幸せっていうのも変ですけど、でも、命は確かにここにある。だから誰だって、幸せになる権利はあるんじゃないですか? 俺は少なくとも、氷雪さんのことは裏切りません。それだけは、約束できます」 氷雪が迷いをその瞳に浮かべる。三樹はそれを消すための言葉は出さず、灰色の空を仰いだ。 「雨は降りますか?」 「雨も雪も、現世と同じように季節は移り変わりますが……」 「なら、傘がいりますね」 「……持ってきてもらえますか?」 「喜んで」 小さな再会の約束を交わすと、氷雪は花の上に体を横たえた。 「少し、眠らせてもらっていいですか……? 安心したら、眠くなって……」 氷雪の小さな手の上に自分の手を置いて、三樹は微笑んだ。 「起きたら、三樹様の話……聞きたい……」 静かな寝息と共に、氷雪は穏やかに眠り始めた。彼女の寝顔を見ながら、三樹は呟いた。 「つまらない話でよければ、いくらでも」 FIN |