UNDERWEAR

all songs written by Noriyuki Makihara

1.男はつらいっすねぇ
このタイトルになる前の曲名は「UNDERWEAR」。つまり、実質のタイトルナンバーです。
この曲、男性と女性では評価が分かれる気がしますが……どうなんでしょう。女性はどんな風にこの曲を聴いているのでしょうか。
この曲で歌われている男性像は、男ならどこかで憧れるものだと思います。確かに、大切な言葉を言える人って格好いいんですよね。
テンションを上げたいときに聴くと効果があります。もちろん風呂上り推奨で。

2.PENGUIN(c/w)(r)
終わってしまった許されない恋を歌った曲です。
ペンギンは、誰もいない場所――南極にいる生物の象徴として使われています。
割と珍しいタイプの詞です――過去の恋の中における風景を歌っているのに、非日常的な雰囲気を感じるという意味で。
この曲も割と人によって受け取り方が違うと思います。私は……切なくなります。
「雨ニモ負ケズ」の初回盤に、別バージョンが収録されています。

3.どうしようもない僕に天使が降りてきた(sin)(r)
タイトルが長いです……ではなく。
シングルですから、聴いたことがある方も多いのではないかと思います。
昔の恋人からのプレゼントを捨てずに持っていたために喧嘩した恋人を描いた、ある意味どこにでもある風景を描いた曲……なんですが。
これも随分と「日常」からはかけ離れた詞です。そういう意味では、今までの槇原とは逆方向の曲と言えます。それでも、喧嘩した恋人を「天使」と表現する辺りが槇原らしいです。

4.君の自転車(r)
詞においてですが、「PHARMACY」までとこのアルバムの違いを挙げるとすれば、「等身大であるか否か」だと思うんです。
この曲も恋人と喧嘩をした後の曲なのですが(……そんなに喧嘩させるのが好きか槇原)、以前ならたぶん車で追っていたんじゃないかと思うんです……もちろんこれは私の勝手な想像ですが。
でもこの曲では、煙草を吸うような年齢なのに自転車で恋人のところに行こうとしています(しかもそれは恋人の自転車)。
このアルバムとSLP、Cicada辺りまでは槇原は「少年ぽさ」にこだわった詞をいくつか書いていますが、この曲はそれを象徴している気がします。

5.うん(r)
rつけすぎですか? ……すいません大好きなんですこのアルバム。
前述した「少年ぽさ」とは正反対の、「踏み込んだ」ラブソングです。「恋人」の次の段階になろうとしている二人――つまり、プロポーズや結婚というものを舞台としています。
このレビューを書くにあたって、アルバムを一枚目から順に聴き直しているんですが、この曲なんかは槇原が年をとっていることを実感させられます――もちろんいい意味で。
年を重ねることによって増えた「説得力」を、上手い形で取り入れた曲です。

6.I need you.(ALBUM VERSION)(c/w)
「どうしようもない僕に天使が降りてきた」のc/w。
「気持ちの温度差」を描いた曲です。アレンジに関して言えば私はシングルバージョンのほうが好きなんですが……まあ、それはともかくとして。
とても「槇原らしい曲」だと思います。メロディやアレンジもそうですが、前にも後ろににも行けずに立ち止まっている主人公の立場というのが、特に。片思いをしたことがあるなら、多かれ少なかれ思い当たることが存在する歌ではないでしょうか。

7.revenge
別れた恋人を忘れることで復讐しようとする歌……というのは表向きで、実のところ未練を歌った曲だったりします。
復讐しようとしているのはこの曲の主人公ですが、実際は主人公が元恋人に復讐されているのではないかという気がします。……でも、好きな人と別れた後は大抵こんな感じだと思うのですが(強がるという意味で)……私だけですか?
サビと間奏のギターが格好いいんですよ、この曲。それだけでも聴く価値があります(何しろ弾いているのが山弦の佐橋佳幸氏ですから)。

8.オオカミ少年
このアルバムのリリース前、槇原がラジオでこの曲について「間に『と』を入れたら童話だね」という冗談を言っていたような記憶があるんですが、ある意味それが紹介になり得る曲です。
物語なんです。ストーリー性があるとかではなく、音楽という道具で綴られた寓話という気がします。
「愛とは何?」というテーマを、聴き手に問い掛ける曲です。ヒントは出ていますが、答えは提示されていないという意味で、異色の楽曲といっていいように思います。
この曲も、他の方がどう聴いているのか是非知りたいところです。

9.THE END OF THE WORLD
「救いのない曲」です。タイトルからして既に……ですからね。
許されない恋をしている二人を、真正面から描いた曲です。ここまで辛いのは、槇原の曲の中でもそう多くはないでしょう。
恋愛の辛いところだけを集めたような歌です。なので、恋愛で悩んでいる人が聴くと深く落ち込めると思います。
……個人的にはこの曲の気持ちが分かるようには……あまりなりたくないですね。

10.PAIN(r)
私はこの曲に何度救われたか分かりません。
この曲はたぶん、槇原が自分に向けて書いた曲だと思うんです(「東京」や「故郷」というキーワードが出てくる曲はほとんどそうなのではないでしょうか)。でも、個人的なことなのに普遍的に聴こえる。それはたぶん、槇原自身が自分の感情の中から最大公約数を選び出すのが上手いからだと思っています。
「痛みはいつか昨日のものになる」――それは考えてみれば当たり前のことなんですが、それを誰かに言ってもらえるとすごく楽になります。
悩んでいるとき、辛いときに聴いてみてください。いい曲です。

11.LOVE LETTER(r)
イントロなしで、ピアノとボーカル&コーラスのみで歌われる1コーラス目が印象的な曲です。
伝えられなかった思いを歌っている曲なのですが、前向きなんですね。未練とかが根本にあるのではなく、伝えられなかったことをいい思い出として笑顔で振り返っているようなイメージがあります。
曲中にバイクというアイテムが出てくるものの、歌っているのは10代の恋ではないでしょうか。
余談ですが、この曲を聴いて何となくでも懐かしい気持ちになったとしたら、それはきっと年をとった証拠です。……私ですか? どうも最近懐かしさが見え隠れするのを感じるんですよね……。

12.まだ見ぬ君へ(r)
まだ存在すらも知らない未来の恋人を思って頑張る曲。……と書くと何だか不思議な感じがしますが、でもこういう気持ちって結構あるんじゃないでしょうか。具体的に誰、ってわけじゃなくて誰かに好きになってもらうために色々なことを頑張る――言い換えれば、自分を磨くってことは誰でもしていると思うんです。
27歳の槇原の、等身大の姿が歌われている曲です。