太陽

all songs written by Noriyuki Makihara

1.彗星
宮沢賢治の世界観をベースとした曲です。「太陽」というアルバムは「罪」を犯した槇原の決意表明なのですが、この曲で歌われているのは一番基本となる立ち位置ではないかと思うんですね。
自分に起こる出来事に対して背を向けない……決して簡単ではない決意がこの曲には存在しています。

2.キミノイイトコロ
人を喜ばせようとすることは、誰でも持っている気持ちです。でも、そこに下心が存在するようになると、少しおかしいことになってしまいます。そうならないように、自分の良いところを秘密にしておくよう相手に頼むというのは、相手のことを信頼してないと無理だと思うんですね。
そういう意味で、すごく「強い」ラブソングです。どんな年齢でも、どんな恋をしている人でも――あるいは、恋をしていない人でも――当てはまる曲ですから。

3.PLEASURE(c/w)
シングル「桃」にc/wとしてリカット。
誰かと出会うことで生まれた気持ちを花にたとえて歌った曲です。
この曲の中で歌われている「大切なもの」とは、一体何なのでしょうか。
花は「大切なもの」をたとえたに過ぎませんから、花ではないはずです。では、何なのか。花が咲くきっかけを与えてくれた「人」なのか、その「出会い」なのか。
……実はその答えはまだ見つかっていません。私にとっては、難しい曲です。

4.濡れひよこ(r)
ひたすら「可愛らしい」曲です。曲中ずっとひよこの鳴き声が入ってます。
重い内容だった前3曲からは一転して、自分を前向きに励ます詞になっています。自分をひよこにたとえる詞といい、アレンジといい、ボーカルといい……完全な確信犯です、この曲。ここまで徹底されるといっそ清々しいかも。
最後のサビの前に「どんなときも。」という声が入っている、ファンサービスつきです。

5.I ask.(r)
私は拙いながら、物書きをやっています。なので、この曲を初めに聴いたとき、ものすごく痛かったです。
自分に問い掛けることをやめたときに人は成長を止めるなどとも言いますが、この曲を聴くと「自分はどうなのだろう」と自問をせずにはいられなくなります。きついけど、必要な曲という感じでしょうか。

6.WILD RABBITS
ゲレンデで聴く曲その2。アップテンポのダンスナンバーです。
「STRIPE!」と同じく、冬の無邪気な風景が描かれています。

7.迷わない羊
ジャズアレンジが印象的な曲です。
このアルバム中、最も厳しいところを指摘してくる歌ではないでしょうか。槇原の自責のようにも聴こえます。

8.Going Home
疲れた自分を励まさずに、「帰る」ことを歌った曲です。
「太陽」というアルバムは、徹底的に槇原自身のために作られたアルバムだと思うんですね。今の自分の全てを描くことで、これからの生き方を明確にするという意味で。
その中でこの曲は、槇原の弱さを描いていると思うんです。そういう意味では「迷わない羊」と同じだと思うんですが、「迷わない羊」が受け入れられない弱さを歌っているのに対して、この曲では受け入れられる弱さを歌っています。
事件以後の槇原の葛藤が垣間見える曲です。

9.SIMPLIFY(r)
一転して、決意の曲です。誰かのせいにしながら生きるつもりはない――それは、自分の過去を受け入れるということだと思うんです。たぶん、この強さこそ槇原が「罪」から手に入れたものなのではないでしょうか。
このアルバム中最もアレンジが好きな曲です。間奏が格好いいので。

10.太陽(r)
このアルバムはこの曲のために存在します。槇原の決意の集大成です。この曲に関してはリリース前から色々なところでかかっていたのですが、この曲を初めて聴いたときに私はこの歌手のファンを続けることを決めました(それまで、全く揺れていなかったと言えば嘘になります)。
名曲です。それ以上の言葉はいらないと思います。

11.Ordinary Days
今改めて聴くとですが、まるで「Home Sweet Home」の予告の曲のように思えます。「太陽」のエピローグとなる曲。自分の決意を、具体的な生活の場面に持ち込んだ曲です。
……やっぱり「Home Sweet Home」の布石のように思えるんですが……偶然でしょうか。